とくに足の付け根をぶつけたとかねじったとかいうこともなく、またハードなトレーニングをしたというわけでもないのに、身体を動かすだけで痛みがあれば誰だって不安になります。
今回は、股関節の外側の痛みについてお伝えします。
目次
「骨に何か異常があるのだろうか?」「何もしていないのになぜ痛いの?」そして、病院で検査を受けても特に異常が見つからなければ、安心するどころか、ますます不安になってしまいますよね。
だって、実際に痛みがあるわけですから。
そこでこの記事では、そんな原因不明の股関節の痛みを解き明かし、まずは原因を知り不安をぬぐい去り、自分自身で痛みを改善していくためのポイントをお伝えしていきます。
だってそのまま放置して痛みが取れなければ、お医者さんに手術を勧められてしまいますから…。
股関節の痛みの原因
股関節は身体を支える大切な関節です。下半身と上半身のつなぎ目である骨盤を支える関節です。また足の付け根でもあり、足の運動に関わる大切な部分でもあります。
たくさんの役割があるんですね。
そのような大切な関節が、少し動かすだけで痛みがあるということは、それ以前にすでにトラブルがあるということです。
体を動かすこともなく、ただ立っているだけ、ただ座っているだけの何もしていないその状態で、すでに体を支えるシステムに異常があるのです。
股関節自体もたくさんの筋肉で支えられています。
足を前に上げる筋肉、後ろに上げる筋肉、そして足の骨を内側におさえる筋肉。股関節はその形状から骨盤に外側からはまり込むように位置しています。太ももの中にある大腿骨を骨盤に押さえつけながら、前後、そして内側、外側に動く関節です。
つまり、内側に引き寄せられながら、前後内外側と三次元的な動きをするわけです。身体を支えるために大切なのはこの内側の筋肉ですが、足の動きには外側の筋肉も大切です。
またこの外側の筋肉は股関節が外側に行き過ぎないように外壁の役割をしたり、過剰な動きをしないようにストッパーの役割もしたりしています。
股関節の外側の痛みは、実はこの筋肉周辺の痛みです。
外壁としての役割が過剰な状態になっている場合や、ストッパーとしての役割以上に股関節が動いている場合です。
では、なぜ股関節がそのような状態になるのでしょうか?
それは、股関節を内側に引き寄せる筋肉が緩んでしまったためです。
次のチェックをしてみてください。
背もたれのある椅子に座った状態で、片方の手の肘を軽く曲げて背面に強く押し付けます。その時に左右どちらのお尻に体重がかかっているかを確認します。
例えば左肘を押し付けた時に右のお尻に体重が乗り、右肘を押し付けた時に左のお尻に体重が乗れば、左右の股関節はそこそこ機能していると言えます。
しかし、左肘を押し付けても、右肘を押し付けても、右のお尻に体重が乗ってしまう場合、この時は左の股関節を内側に引き寄せる筋肉が緩んでいるということが言えます。
つまり、左の股関節がトラブルを起こす可能性のある状態なのです。
股関節の痛みの解消法
股関節の外側の痛みを解消するには、緩んでしまった股関節を内側に引き寄せる筋肉にスイッチを入れることです。
まず一人でもできる、前述のチェックをしてみてください。
左右で緩んでいる方がわかりましたか?
また、周りに誰かもう一人いるときは次のチェックをしてください。
膝の外側を押さえながら、足首の内側から外に向けて力をかけてもらい、それに抵抗します。
このチェックで、確実に股関節を内側に押さえる筋肉の強さが確認できます。
この2つのチェックを行ってあなたの痛みのパターンは次のどちらでしょう?
緩んでいる側と痛みのある方が一致している場合は?
その場合は、痛みのある股関節の内側の筋肉が緩んで外側に負担をかけていることが原因です。
この場合は緩んでいる方の股関節、つまり痛みのある方の股関節をゆっくり回します。外回し、内回し、それぞれ10回を目安に。多少痛みがあっても大丈夫です。目的意識をはっきりとさせれば、回している内に痛みは無くなってきます。
これまでは痛みがあるので動かそうとしなかったその股関節を、あえて動かすことでその緩んだ状態を改善するのです。
このような目的意識が非常に重要で、内側が緩んでいるから外側に負担かけてしまったな、という意識をもってください。
そして、あくまでも「痛み」はカラダからのお知らせです。
支えていますよ!というお知らせです。
緩んでいる側と痛みのある方が一致しない場合は?
この時は痛みのある反対側の股関節の緩みが原因で、その負担をかけられているというのが原因ですので、今度は痛みのない方の股関節をゆっくり回します。
この時の意識は、反対側に迷惑をかけてごめんなさい、です。
そしてチェックが難しい場合。
一人チェックができない場合や、二人チェックも分かりにくい場合は、迷わず左右両方の股関節を片側ずつ回しましょう。
大切なことは意識です。
同じように左右の股関節を回していても、どちらか片側は頑張って支えてくれています。
その場合はねぎらいながらまわしてください。また、どちらか片側は緩んでいるので逆に注意を促すような意識でやってみてください。
どちらがどうか?なんて分からなくてもいいのです。
自分の身体の中で、頑張ってくれていたり、さぼっていたりという、そんなことが実際に起こっているということを知ること、気づくことが大切です。
それが痛みの原因なのですから。
股関節を回した後、もう一度チェックをしてみてくださいね。
(一人チェック・二人チェック)
それでも改善しない股関節の痛みには?
身体は複雑なつながりで構成されています。
ただ単に左右、そして内側外側のバランスだけではなく、それに加えて前後や上下など、常に三次元的なバランスを考えなければなりません。
皆さんは日頃、特に意識することもなく歩いていると思います。
まっすぐ歩く時には当然左右対称的に同じ動きをするはずですが、この時、右足と左足が全く同じ仕事をしている人はおそらく一人もいません。
同じ仕事というのは、ビジュアル的な見た目の動きではなく、その動きを生み出す中身、内容です。
右足を前に出し、左足を前に出し、これを交互にすることで歩いています。
この時、片方の足を前に出す動きに、股関節、膝、足首などの関節と足を持ち上げる筋肉が働きます。また足が地面に着地して、かかと、足首、足の裏、膝、股関節と身体を支えるという仕事を順次こなしていきます。
ここで大切なのは仕事の割合です。
足を上げる時の仕事、身体を支える時の仕事、その仕事を各々のパーツごとにうまく分散され、その割合が左右全く同じであれば理想的なのですが、なかなかそうはいきません。
例えば、片足だけ見ても、股関節が緩めば膝や足首に負担がかかり、逆に足首や膝が緩めば股関節に負担がかかります。
そしてここで忘れてはいけないことは、身体を支えるためには足の指の仕事が重要だということ。
特に意識することなく、足の指にちゃんと仕事をさせている人もいますが、多くの人は足の指をうまく使いこなせていません。
足の指で踏ん張れていないということです。
この足の指で踏ん張るということを身につけると、改善しない股関節の痛みを解消できることがあります。
余談ですが、外反母趾による骨の変形は、長年足の指を使わない生活をしていた結果です。
足の指をうまく使いこなすと、今までよりもふくらはぎや太ももの裏側のハムストリングやお尻や背中の筋肉を使えるようになります。
足の指を使う時に、お尻や背中の筋肉が働いているなんて意識が今までありましたか?
足の指に意識が向くことで、身体全体で身体を効率良く支えることができるようになります。
結果的に、股関節の痛みも解消してくでしょう。
股関節の痛みを消すための具体的な足の指の使い方
まず、左右どちらからでもいいですから、足の指を見ないで順番に親指、人差し指、中指、薬指、小指、と一本ずつ動かしてみてください。笑っちゃったでしょ?なんとか親指は意識できても他の指はほとんど同じ感覚でよくわからないと思います。違いますか?
いかに日頃足の指に意識がいっていないことがわかると思います。こ
こに意識を集中して足の指を動かすのです。
座った状態で足を伸ばして手が足の指先に届く人は、今度は指一本ずつ目で見て確認しながら、手で手前に引く力に抵抗するように足の指を向こう側に押し付けます。
手が届かなければ、壁などに足の指を一本ずつ押し付けてください。最初はなかなか力が入らないと思いますが、続けることで徐々に力が入るようになり、さらに続けることで足の指一本一本をある程度意識できるようになります。
足の指を意識し、力がうまく入るようになってくると、足の指を使う時にお尻や背中も使っていることがわかってくると思います。
そんなことを意識しながら、今度は立った姿勢で爪先立ちならぬ、指先立ちをしてみましょう。片足ずつしっかりと指先で身体を支えるようにしてください。これは通勤中のバスや電車で立っている時につり革を持ちながらすることもできるので試してみてください。
足の指をうまく使えるようになると、足全体を効率良く使うことができるようになるだけではなく、身体全体をうまく使えることができるようになり、バランスも整いやすく、股関節への負担が軽減され、痛みも解消していくでしょう。
まとめ
1年ほど前に股関節の手術をして、痛みが取れたと言って喜んでいた方が、最近になって膝が痛くて不安でたまらないと言われています。
身体の中で何が起こっているのでしょうか?
身体の中で大切ではない部分なんてありませんが、股関節は身体を支えるという意味でかなり大切な部分であると言えます。また、痛みの出やすい部分でもあります。つまり、身体のバランスが乱れているというお知らせが出る代表的な部分なのです。
このお知らせを見過ごさないように、記事でお伝えしたポイントをよく理解して、うまく身体と付き合ってみてください。うまく付き合えれば、お知らせである「痛み」は消えてくれます。
止むを得ない手術で股関節からのお知らせを消してしまうと、次のお知らせは膝や腰に出ます。お知らせを移動させたり広げたりする前に、まず身体を効率良く使い、バランスを整えましょう。