血の流れを良くするという薬のその副作用として、血が止まりにくくなる場合があります。歯磨きをしたら口の中が血だらけになるので磨けなかったり、出血が止まらないので、痛みのある歯を抜くこともできません。
そんな人に限って、自分では何の薬を飲んでいるのかも理解していないという方のお話を少しだけ…。
毎日十数種類の薬を飲んでいるという男性の方。薬を飲むと身体の調子も悪くなるということですが、それでも何の薬を飲んでいるのかもわかっていない。お薬手帳を拝見すると、同じような薬が重なって処方されていました。正直、数かぎりない種類のある内科的な薬にはそれほどの知識がない私が見ても、いくらなんでもこれはちょっとおかしいのではないかと分かるほどの処方です。
私の口から、その薬はいらないとか飲むなとかは言えませんから、自分の飲んでる薬の勉強ぐらいした方がいいですとアドバイスしました。
主治医の医師に薬の相談に行ったところ、「私が信じられないのなら他に行ってください。」と言われたそうです。
あんまりですよね。止むを得ず他の病院に転医して検査をしてもらったところ、今の状態ならこれだけの薬が必要ですといわれ、もらった薬はなんと3種類に減っていたそうです。
その後痛みのあった歯を抜歯して、様子を見ていました。そして先日こられた時、かなり調子が良いようで大変喜んでいられるのです。
「先生、歯ぐきどうですか?傷は治っています?」
「はい、いい感じですね。きれいになってきてますよ。」
「歯ぐきからの出血もなくなりました。」
「歯ブラシ頑張っているからですね。」
「頑張っています。でも薬をやめたからだと思います。血がサラサラになるやつ。あれから体も軽いし調子が良いんです。」
あれっ?血がサラサラになる薬は、減らした後の3種類に入っていたと思うのですが?
「勝手にやめてるんじゃないですか?ダメですよ。」
「ははは、とにかく身体の調子が良いんです。歯の痛みも出血もなくなったし。」
薬っていったい誰のために、そして何のために飲むんでしょうか?
とりあえず、全く元気のなかったおじさんは、メチャメチャ元気になっているのでした。